停電対策はEVからの給電で大丈夫!ではありません!

EV普及促進宣伝の一環として、「EVは停電時のバックアップ蓄電池となるため安心」というキャッチフレーズが広く拡散され、EV購入の動機のひとつともされていました。

しかし実際にEVの蓄電池を電源として家庭の分電版などに接続して電力利用するためには、V2H(Vehicle to Home)という変換接続機器が必用で、価格はおよそ180万円(工事込・税別)ほどします。導入の際は自治体から補助金が出る事が多く金額負担はかなり減らすことが可能です。

V2Hに加え、太陽光パネルがあるなら、EVがいざというときの電源としてだけでなく、太陽光発電でEVの充電代をゼロにすることも可能です
FIT10年を終えた(卒FIT)太陽光パネルでも有効活用することができます。またより早く充電可能な200VのEV充電器とセットになっているものもあります。実はEVのメリットはそちらがメインで停電時給電はあくまでオマケ程度のV2Hが最も需要があるようです。


では、フルセットのV2H機器があれば、テスラパワーウォールと遜色のなくレジリエンス対策ができるように思えますが、果たしてそうでしょうか?

EVはやはり自動車なのです

EVは自動車ですので、その電池は走ることを目的として造られ使用されます。そのため、テスラパワーウォールのように、昼間太陽光発電を充電し、夜間にそれを利用するというような使い方は、EVのバッテリーへの負荷が大きく劣化を早め、航続距離が短くなるため推奨されていません。

また注意せねばならないのは、V2Hは車種によって適合があり、車種と好みのV2Hを自由に組み合わせるようなシステムを作れないのです。

停電時のバックアップ電池としてはもちろん利用できまが、自動車として利用しつつですので、停電時に満充電されている保証はありません。一日利用してEVへの充電を開始した時もしも停電したのなら、利用できる電力は限られています。V2Hの種類によっては、停電時に自動で切り替わらず、一時的な停電が起こることもあります。
そうした意味で真の停電対策とはなりえないのです。

EVの蓄電池は大容量ですしV2Hも現在進行形で進化してはいますが、V2Hのシステムとして分電盤での一部電力供給に留まり、テスラパワーウォールのような家庭で使う通常電力すべてを賄うようなシステムはありません。

このような理由もあり、V2Hは実際の運用面において、太陽光電力の自家使用と停電対策といった、家庭用蓄電池の役割をすべて担うことは難しく、あくまで最小限の停電対策と考えた方がよいでしょう。

またEVを太陽光発電の高容量蓄電池とみなし、クリーンな再生可能エネルギーとして売電や地域での再利用を促進しようという働きかけもありますが、EVオーナーとしてはやはり蓄電池の劣化を早めることになるため、積極的には参加しない傾向が強いようです。

テスラパワーウォールは家庭用蓄電池の中でも最高の性能とコスパを誇ります。例えテスラ車とV2Hを購入してもその代替にはなりえません。EV車はそのバッテリー保護と充電に最大の注意が必要ですので、卒FIT対策含め、太陽光パネルを所有の場合はテスラパワーウォールの導入をご検討ください。